とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



『HI、クロウ。…隣いいかしら?』



…ほらみろ…



『あぁ、どうぞ?』



…顔に出さないように…



心の中でそう呪文のように唱える。



『私、ナオミ。話すのは初めてね~』



『あぁ、そうだね…“ナオミ”って親は日本人?』



『祖母が日本人よ。』



『なるほど…』



パッと見はわからないが、よく見れば鼻の低い所なんかは日本人の血が混じっているからだと気付く。



『ずっとあなたと話してみたかったのよ。…今日来て良かったわ』



右京は無言で笑って誤魔化す。



…面倒くさい…



帰ったらまた忍に報告しなくてはならないと思うと気が重い。



言わないと怒るが、言ったとしても機嫌が悪くなるのだ。



…あまり波風立てたくないんだけど…



『恋人は?』



『居るよ。…ってかフィアンセがね?』



『ええっ!?…結婚するの!?』



『そのうちね。…先になるとは思うけど…』



その時はまた、あのクソ親父と喧嘩になるだろうな…



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