とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
右京は憂鬱が顔に出たらしく、ナオミは彼を覗き込む。
『浮かない顔。…うまくいってないの?』
『いってるよ、彼女とはね。…問題は親だよ…』
『あら…うちとは逆ね…』
ナオミの言葉に『なんだ、恋人いるのか』と思うと気が緩んだ。
『うまくいってないんだ…?』
『ん~…というか、ほぼ政略結婚みたいな…』
『今時!?…あ、ゴメン…』
ついデリカシーのない事を言ってしまった。
『ふふふ…いいのよ。ホント“今時!?”って感じだし!』
彼女はそう笑うと『あ~あ』と溜め息をつく。
『クロウが恋人とうまくいってなかったら色仕掛けで迫るのになぁ~…』
『…やめて…俺、前にそれで彼女と喧嘩になってんだよ…』
ジュリアとの一件を思い出し、少し萎える。