とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『あ…あのっ、虎太郎さまっ!?今は…』
慌ててバジリスクがそう声を掛けたが既に手遅れ。
─ガシャン…!バタッ…ガラガラ…!
物凄い物音と共にバスルームから虎太郎が投げ出され、右京の怒声が響き渡る。
…あぁ…いつも通りね…。
バジリスクはよく解らない右京と虎太郎の会話を聞きながら、普段と変わらない主人に安堵の息を吐いたのだった。
右京が出て来るのを待って、虎太郎はまず天界のについて話し始めた。
『あの噂なんだけど、確かに最近神々が慌ただしく行き交う姿が目撃されてる。…けど皆余りその話をしたがらないんだ…』
天使間のいざこざならまだしも、神々の事となると話は別だ。
たとえ噂話だとしても安易に口にする事は、神々の逆鱗に触れる危険があるのだから。
右京は予想していた虎太郎の言葉に『そうか』と呟いた。