とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



『これは俺の予想なんだけどね…?』



虎太郎は少し身を乗り出し、声を潜めてこう言った。



『皆がその噂をしたがらないのには理由があると思うんだよ…』



『…どんな?』



『右京は覚えているか?昔も似たような事があったじゃないか。』



『昔…?』



『ほら、タイタンが動いた時だよ!』



…“タイタン”…!



右京は記憶を辿る。



オリンポスの神々の中でもタイタンはいまだ勢力を持った一族で、タイタン12神と言われていた。



虎太郎が言いたいのは、彼等が昔起こした争い…“ティタノマキア”と呼ばれる神々の戦争だろう。



『…まさか、またティタノマキアが起こる…と?』



『そこまでは解らない。でも、天使達が頑なに話をしないのはタイタン級の勢力を恐れてるとも思えないか?』



右京は眉間に拳を当て、低く唸った。



< 119 / 476 >

この作品をシェア

pagetop