とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『…嫌な予感がする。』
『あぁ…俺もだよ。』
虎太郎も項垂れて頭をガシガシと掻いた。
『…まぁ、そっちは表沙汰になってないみたいだし、まだ大丈夫だとして…』
『…まずはウトゥックを操っていた悪魔だね?』
虎太郎に頷いて右京は『実はさ…』とあの時見掛けた悪魔について話した。
『アイツは…マスティマに見えた。』
『マスティマ!?…そりゃただ事じゃなさそうだね…P2には?』
『言ってない。…悩んでるんだ…言うべきなのかをさ…』
虎太郎はジッと右京を見つめ、一拍置いてゆっくり口を開いた。
『…何が怖いんだ…?』
『…狙いは多分俺だ。…彼等が巻き込まれるんじゃないか心配なんだ。』
『違うね。右京はそう言うことで自分を正当化してるだけだ。本心を当てようか?
…“人間達が足手まといだと思ってる”』
右京は目を剥き、『そんなんじゃない』と言いかけて言葉を飲み込んだ。