とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『先日、バチカンから幾つか仕事の依頼が来た。ひとつはクリスが片付けてくれた。』
クリスを見ると涼しい顔をして『楽勝だったよ』と肩を竦めた。
『もうひとつは今ニックが下調べをしている。』
この場にニックが居ないのはそれでなのか…
右京が『なんの下調べなんだ?』と聞くと、アランはキーボードを軽く叩いてスクリーンを切り替えた。
そこに表示された画像を見て右京と虎太郎は眉を寄せる。
『…これは…“死海文書”…?』
アランは右京の呟きに満足そうに頷くと、依頼内容について話し出した。
『知ってるかい?死海文書は今はデジタル化して誰でもオンラインで閲覧が可能なんだ。』
『…ああ、一時期話題になってたし…』
『バチカンの話だと、どうやら死海文書はあれだけじゃないらしい。』
『…閲覧不可になっているものがあるのか?』
『恐らく。だが、問題はその事じゃないんだ。』
アランは話ながら眼鏡を外して目頭を軽く揉んだ。