とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




『さっきの話なんだけどさぁ~』



バジリスクの用意した夕飯を食べながら右京は『ん?』と顔を上げた。



『最近“スカイフィッシュ”の目撃情報が増えて来てるんだよ。』



そう言いって当たり前の様にテーブルの向かい側に座ったニックは、グラスを回しながらワインを飲んだ。



バジリスクが頻発にやって来るニックの分も夕飯を準備するものだから、最近は夕飯時になると決まって彼は訪れる。



バジリスクも右京があまり相手にしないせいか、ニックが居てくれた方が楽しそうだ。



・・・と、そんなことはどうでもいい。



『“スカイフィッシュ”ねぇ・・・胡散臭いな・・・』



『昔からネタになってたけど、今回のはちょっと臭うぞ。』



スカイフィッシュは別名“ロッズ(Rods)”と呼ばれ、空中を高速で移動する半透明な生き物だと言われている。


高速移動する故に肉眼では確認出来ないって話だが、科学の発展した現代においてそれは有り得ないと右京は思っていた。


『どうせなら“精霊だ”と言ってくれたら信じられるんだけどな・・・。』


『目に見えないんだから、似たようなもんだろ?』



右京は自分達の口論がレベルの低すぎる事に気付き、『そうだな』と適当に相槌を打って夕飯を食べる事に集中する。



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