とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




右京は空港で搭乗手続きをする間、終始落ち着きが無かった。



ニックから電話が来たのは数時間前。



彼は半泣き状態で『行きたくない…』と繰り返していた。



『だってクロウ、知ってたか!?バチカンの諜報部員が消されたかもしれない事件だぞ!?そんなのに何で俺が…』



『落ち着け!俺も合流するから…!ったく今回ばかりはアランを恨むよ…』



『俺が消されたらアランを呪っとくよ…』



縁起でもない事を口走るニックに右京は苦笑した。



『お前が消されるような事があっても、忍だけはちゃんと守れよ?』



『無茶言うな…!俺だってクロウに殴られるのは二度と御免だよ!だけど…だけどさぁ~…』



遂に泣き出したニックを『泣くな!』と罵倒する。



『とりあえず、シノブと合流する…。クロウも急いでくれよ?』



そう言って電話は切れた。


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