とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
そのあと直ぐに忍にメールをしたが返事はない。
あの調子だと自分の身が危険だなんて微塵も考えてないだろう。
『…潤…頼んだぞ…?』
独り言のような呟きに“御意”という声が頭の中に聞こえた。
彼が居れば二人が消される心配はない。
この手の隠密任務は彼の得意とする分野だ。
そう自分に言い聞かせ、右京は忍達に合流すべく飛行機に乗り込んだ。
離陸直前にP2から連絡が入る。
今回のミッションの内容と、その最期にアランからの言葉があった。
─“通信手段がないから指示が出せない。だが、君達なら問題ないだろう?”
『………』
問題なら山ほどある。
だが、自分達はバチカンの要請で動いている。
ならば例え無茶をしても揉み消して貰えるだろう。
右京は携帯端末を見ながら何をすべきかを考えた。