とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~


消されたのはシドニー·マイヤー、38歳、男性。



資料によるとイスラエル考古学庁に潜入していた諜報部員だった。



死海文書は長年バチカンが異端として認めておらず、詳しい内容が掴めなかった。



その為に諜報部員のシドニーは潜入する必要があったらしい。



彼からの最期の報告では『死海文書の4割は公開されておらず、その内2割は既に解読されている』と言っていたようだ。



つまり、新たに解読されたのは全体の数%に過ぎない。



その数%のせいで人が消されたとなると、内容がそれほど世に出てはならない物と考えられた。



その中に“マスティマ”についての記載があった…。



…で、そのマスティマに俺は目を付けられている。



もしかしたら罠かもしれない。



右京はフッと笑みを浮かべ思う。



…来るなら来い…!真意を吐かせてやる!



知らず知らずのうちにマスティマと対峙する事を心待ちにしている自分に、右京はハッとと我に返った。




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