とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




足取りの重いニックを何度も振り返りながら忍は溜め息を着いた。



『もう!いい加減にしてください!』



『だってさ~…はぁ…』


『ほら、大学の図書館まであと少しですよ~』



『…やっぱり止めない?』



『ここまで来て、今更何を言ってんですか!?』



腰に手を当てて怒る忍にニックは『わかったよ…』と弱々しく頷いた。



ニックは何も知らない忍に説明する気になれなかった。



多分、彼女はただ単に自分の事を“やる気がないだけ”と思っているのだろう。



…とりあえず、クロウが来るまで時間稼ぎをしよう。



一人納得して忍と共に図書館へと足を踏み入れた。



『…凄い…!』



感嘆の声を漏らした忍にニックはクスッと笑った。



目を輝かせて莫大な書籍を見て回る忍はまるで子供のようだった。


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