とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



と、『コホンッ…』という咳払いに邪魔され忍が身を起こした。



『……ニック、邪魔しないでくれる?』



『悪いな…あまりにもラブシーンが長いからつい…』



真っ赤な忍を膝から下ろすと右京はニックに『どうだ?』と情況を聞く。



『とりあえず写本を確かめてた。確かに幾つか“穴”がある。』



仕事モードに切り替え、三人は館内に戻ると付箋紙が貼ってある写本のページを覗き込んだ。



『…読めるか?』



『ある程度は。…でもこっちのこれは駄目だ…古代のアラム語で書かれてる。』



…となると、やはり考古学庁を当たるしかないか…



『なんて書かれてるんだろ…』



『ほとんどは旧約聖書の内容と同じだ。…でも多少違うものが混じってる。』



だからバチカンが異端だと主張しているのだろう。



右京は低く唸ると今後のプランを頭の中で組み立てた。



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