とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




忍とニックが考古学庁の取材許可が降りた頃には、もう陽は半分沈み辺りが薄暗くなっていた。



この国で夜に外を出歩くのは危険で、人影はほとんどない。



『…わざとだな…』



『何がです?』



『考古学庁だよ。わざと取材許可を遅らせたんだ。』



暗くなってからならこちらが諦めるとでも思ったのか、それ以外の理由か…。



どちらにせよ、その時間は研究員も少なくなるだろから、多少動きやすいかもしれない。



忍には諜報部員が消された事は伏せ、『マスティマを追っている』とだけ知らせた。



『マスティマってそんなに謎な悪魔なんですか…?』



『そ、そうなんだ!文献のほとんどに記載がなくて、死海文書の一部にそれがあることが判明してね?でもあれって古代文字が多いから俺じゃ読めないし…だからこうやって…』



『はいはい、わかりましたから!』



べらべらと喋り始めたニックに、忍は“もういい”と言いたげなうんざりした表情をした。




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