とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
深く突っ込まれなくて良かったが、この調子じゃいつボロが出てもおかしくない。
…どうか何事もなく済みますように…
ニックはそう祈りながら考古学庁を訪れた。
正門には警備が2人…建物の入口に2人…更に各階にも警備が1人ずつ配置されていた。
…なんか物々しいわね…
警備員というよりまるで…
『監視されてるな…』
『やっぱりそう思います?私もさっきから視線を感じるんです…』
だが、もう後には引けない。
『お待たせしました。記者の方ですね?』
対応は丁寧で自分達を敵視しているようには見えない。
…警備が厳しいだけかしら…?
『こちらへどうぞ』と通されたのは、“いかにも”と言うような歴史的価値のある物が鎮座した部屋だった。
『ここは取材の時に利用する、いわばスタジオです。展示物もレプリカですから触れても構いませんよ?』
流暢な英語でそう話す青年は研究員ではなく、広報担当らしい。