とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



ニックが言葉を発するよりも早く、右京は『断る。』と言い放った。



『まだ何も言ってないじゃないか~』



『お前の言いたい事ぐらい想像出来る!・・・どうせ、“日本に帰るんなら調べて来い”って言うんだろ?』


『“調べて来い”だなんて言わないさ。・・・“調べてきて欲しい”とは言うけど。』



そしてこう付け加えた。



『シノブは“ウキョウと調べてみる”って言ってたぜ?』



『・・・・・』



右京は“やられた”と思った。



忍の事だからこの手の取材は二つ返事で引き受けただろう。



片や右京は絶対にただでは首を振らない。



だが、忍の名を出せば別だとニックは最初から判っているのだ。



何も言わない右京にニックは勝ち誇ったような笑みを浮かべるのだった。




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