とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
研究員はそれほど多くはない。
…警備は…一人か…。
だが、休む事なく巡回していて思うように動けない。
真面目タイプはこういう時困る。
『…時間外だろ~?少しサボれよ…』
右京の呟きも虚しく、警備員は全くサボる気配はない。
各部屋に直接侵入出来たら早いのだが、この建物の造りを見る限りそれも無理そうだ。
仕方なく彼等をやり過ごし、一瞬の隙を見て天井から頭を突き出した。
『…げっ!?…』
目の前に監視カメラを発見し、咄嗟に頭を引っ込める。
レンズがこっちを向いて無かったのはラッキーだった。
タイミングを見て飛び降りると、死角に回りながら近くのドアに目を向ける。
…“更衣室”か…。
さすがに更衣室には監視カメラはないだろう。
鍵は掛かっておらず、右京がドアノブを捻ると扉は静かに開いた。