とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
更衣室内は明かりが消えていて真っ暗だった。
ロッカーの間を歩きながら奥に進むと、ハンガーに掛かった上着が目に入る。
それにIDが付いているのを見つけ、おもむろに手に取りバサッと羽織った。
『お借りしま~す…』と呟きながら…。
更衣室の扉を開けた瞬間、女性職員に出くわす。
右京は彼女にニッコリと微笑んで『お疲れさま』と声を掛けた。
『…お疲れさまです。残業大変ですね。』
『ええ、お互いに。』
そう返事をして颯爽と去って行く銀髪を見送り、女性職員は首を傾げた。
『あの人初めて会う…ここの研究員にもイケメン居たのね…異動願い出して正解だったわ!』
そして、次会ったらランチに誘おうと考えながら、彼女は上機嫌で自分の職場へと戻って行った。