とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




広報担当の男性が部屋を出て行ってから20分程経った。



『…少し遅いですよね…』



『ああ…ヤバいね。』



最悪の事態が脳裏を過って忍の背に悪寒が走った。



そもそも、最初から言ってくれれば良かったのだと彼女は思う。



ニックは『言えば君は来なかっただろ?』と言ったが、当たり前である。



…なんでこんな危険な橋を渡る必要があるのか…。



落ち着き無く展示物の前をウロウロ歩きながら、唇を噛んだ。



…大丈夫。潤君も居るハズだし、右京だって…



だが、意外と警備員も多かったのを思い出し、忍の不安は増すばかりだ。



彼女はブンブンと頭を振ってネガティブな思考を追い出した。



とりあえず、死海文書について考えながら不安を紛らわす。


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