とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~


そんな忍の隣でニックが口を開く。



『…死海文書は約800巻の写本の集まりだと言われる。内容は旧約聖書やそれに関連した書物の断片で、実際は7つの巻物らしい。』



『…7つ…本当に7つだったのでしょうか?』



忍の問いかけにニックは首を傾げる。



そんな彼に構わず忍がある仮説を立てた。



『たとえば…もし、7つじゃなく、もっとあったら…?』



『…というと?』



『もし、新たに死海文書が発見され、その解読に成功してたら…?その内容が、世紀の大発見で重要機密なら…マイヤーが消されてもおかしくない。』



ニックは素直に忍の仮説を面白いと思った。



『…だって腑に落ちないんですよ…7つっていうのも中途半端ですし…。誰が隠したのかも判らないのであれば、正確には幾つあったのかも判らないじゃないですか。』



ニックは『確かに…』と呟きながら顎髭を撫でた。


< 160 / 476 >

この作品をシェア

pagetop