とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『…死海文書にはこんな逸話があるのを知ってるか?』
そう言ってニックが話し出したのは1947年にそれらが発見された時の話だった。
死海文書自体を一番最初に見つけたのはベドウィンと呼ばれるアラブ系遊牧民の3人だった。
その巻物を読める人間を探し回り、最終的にシリア正教会のサムエル大主教に辿り着く。
彼はすぐにそれらが歴史的価値のある本物であると気付き、購入を決めた。
『…その時7つの巻物が彼に?』
『いや、4つだ。』
何故なら、後日ベドウィンの3人が死海文書を持って大主教の屋敷を訪れた際、身なりのみすぼらしい彼らを追い返してしまったからだ。
そのうちの2人は日を改めて大主教の元に訪れたが、もう一人は別の人間に死海文書の残りを売ってしまった。