とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『ちょっと、どういう事なの!?私、こんな危険だなんて…!』
『シッ…!ちょっと静かに。』
忍の唇に人差し指を押し当て黙らせると、右京は窓に手を掛けた。
『情況が変わった。逃げるぞ…』
『逃げるって…どうやって!?』
窓を全開に開いた右京にニックが眉を寄せた。
『…まさか…おい、嘘だろ!?』
『いや、嘘じゃない。大丈夫、たかが3階だ。死にはしない。』
『死にはって…シノブは!?』
『問題ない。…おい、潤!二人をここから連れ出せ!』
目の前の空間が歪み、静かに現れた悪魔は長い黒髪を靡かせ優雅にお辞儀をした。
『…かしこまりました。』
そして忍を抱き上げると窓の縁に足を掛けた。
『…まて、俺は?』
『…ワタクシは男には興味ありません。…が、主の命は守ります。』
そう言って潤はフワリと窓から飛び降りた。