とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ニックがそれに驚いて窓の下を覗き込んだ。
と、後ろの扉が開く音に振り返る。
『ちっ…うざったい…』
右京はニックを庇うように立つと入口から入って来た数名の警備員を見据えた。
アラブ語で何かを叫ぶ彼等に右京はちょっと首を竦めた。
『…悪いな…俺、何言ってんのかわかんねぇんだ…』
おどける右京の後ろで『右京様…』と言う潤の声が聞こえた。
『心配ない、先に行け。北側の路地からなら排水路に出れる。』
『…御意。』
ニックの悲鳴が聞こえて無事に脱出出来た事が解った。
…さて、どうしようか…。
右京は自分を取り囲む警備員を見つめ、小さく溜め息を着いた。