とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ギャラリーの入口で呼吸を整えながら腰の拳銃に手を添えた。
そしてそれを構えると、意を決してギャラリーへ足を踏み入れた。
『う…動くな…!』
部屋の中にはたった一人…。
『なっ何者だっ!?』
そう言うとその人物はふわりと目を細めて微笑んだ。
それがあまりにも美しく…バラクは思わず目を奪われる。
彼は長い銀色の前髪を掻き上げ、英語で何かを呟いた。
『…お…お前はなんだ!?』
バラクが片言の英語でそう言うと、銀髪の彼は驚いたように目を見開いた。
『…あんた、英語喋れるんだ!』
彼はクスッと笑いながら、着ていた上着を脱ぐとそれを手にバラクの目の前まで歩いて来た。
『これ、借りちゃったんだ…持ち主に返しといて。』
『…は?…』
予想外の言葉に一瞬固まる。