とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ロンドンに着いたのは午後をちょっと過ぎたあたりだった。
右京に気付いたジムは両手を広げて「セガレじゃないか!?」と豪快に笑った。
彼とハグをして「ひさしぶり」と言うと、ジムはバシバシと右京の肩を叩いた。
「様子を見て来るように頼まれたんだよ。トラブルって聞いたけど?」
「そうなんだよ。・・・見ろよ、あれ!」
そう言ってジムは倉庫の中を指差した。
「うわっ・・・凄いな・・・」
倉庫内は将棋倒しになった荷物が散乱し、足の踏み場もない。
それを見て右京はジムがパニックになるのも判る気がした。
「なんでこんな事に?」
「うちの馬鹿な若造がフォークリフトで荷物に突っ込んだんだ。」
確かに荷物が多い倉庫ではあるが、そんなに通路は狭くない。
フォークリフトの操縦を誤ったとしてもちょっと酷過ぎると思った。