とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「はっきり言えばいいのに・・・」
「そういう訳にもいかないだろ?“部長の息子”って肩書きなんだから・・・」
右京の態度が叔父の面子にも関わってくるだけに、ぞんざいに扱う訳にもいかない。
「でも、ちゃんと婚約者が居るって言ってるよ?」
「・・・“婚約者”・・・」
「そ。“婚約者”!」
「だろ?」と頬を撫でられ、忍は真っ赤になりながら恥ずかしそうに笑った。
そんな忍が可愛くて右京は堪らず路地裏に連れ込む。
突然腕を引かれて対応できない忍をビルの壁に押し付け、強引に唇を奪う右京に彼女は「なんなの!?」と眉を寄せた。
「今の顔、ドストライク・・・やばいよ、忍・・・今すぐ抱きたい。」
「ば、馬鹿じゃないの!?」
右京の頭をバコンッと殴って、忍はさっさと歩き出した。