とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「駄目よ、忍!顔に出しちゃ駄目!」
鏡に向かってそう言い聞かせると「よしっ」と席に戻った。
が、戻ると先ほどまで自分が座っていた右京の隣にはウェーブヘアの女の子が座っている。
…なるほど…あの子が…
不機嫌が顔に出ないように気を付けて忍は相馬の隣に座った。
「あ、すみませ~ん、右京さんの隣座っちゃって…」
「…いいわよ、私はどこでも。」
ニッコリ笑ってそう返す忍を見て何故か右京がムッと口を尖らせた。
「駄目!なんで忍が相馬先輩の隣なんだよ!」
…私が聞きたいわよ!
という言葉を飲み込み、「こっちの方が広いからよ」と苦笑する。
「忍ちゃん、俺の隣がいいってさ!」
ふざけて自分の肩を抱く相馬に、忍は血の気が引いた。