とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ヤバいと思った瞬間、右京の拳が相馬に向かって伸びた。
鼻先でピタリと止まった右京の拳に一同が息を飲む。
「相馬先輩…今すぐ俺の忍から手を放して…」
凄む右京に相馬は「じょ、冗談だよ!」と両手を上げた。
「先輩…席交代。」
「…はい…」
素直に右京に従う相馬が哀れになる。
篠原はそれを見てゲラゲラ笑っていたが、忍は内心ハラハラしっぱなしだった。
相川はといえば全く空気の読めない女の子で、正面に移動した右京に猛烈アピールをしている。
「どうせだから黒崎部長も呼ばない?」
そう言い出した相川の言葉に忍と右京は「「えっ!?」」と同時に嫌そうな顔をした。
「彼女さんの未来のお父さんになるかもしれない人でしょ?仲良くしとかないと~」
「未来のっていうか…普通に私の父だけど…」
「「「えっ?」」」
話の噛み合わない皆に右京は「う~ん」と唸り声を上げた。