とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
取引先といっても、実際は右京の担当ではない。
本来の担当である篠原が先週ミスをしでかし、たまたま右京がその場に居たお陰でなんとか丸く治まったのだ。
別に右京が何かをした訳じゃないが、そこの担当者が女性で右京を気に入ったらしかった。
味をしめた篠原は、そこに行く時は必ず右京を同行させる。
「悪いな…そっちが大変なら俺も半分手伝うわ…」
「そこまで大変じゃないから大丈夫ですって!入力は得意なんで。」
が、定時間近になって一通の想定外のメールでその入力作業さえ厳しくなった。
それは他でもない“P2”からのメールだった。
「篠原先輩、やっぱり半分作業頼んでいいっすか?」
「ああ、構わないよ。」
深く追求されなくてホッと胸を撫で下ろし、2時間程残業をして仕事片付けると急いで帰宅した。