とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
右京が帰って来ると、珍しく忍が出迎えた。
「ただいま。もう帰ってたの?」
「うん、今日は暇だったから定時で上がったの。…夕飯は?」
「食べるけど、アンダーワークが先かな…」
靴を脱ぎながらそう言うと、忍は心配そうに右京を覗き込んだ。
「…大丈夫?疲れた顔してるよ?」
右京は「大丈夫だよ。」と彼女の頬にキスを落とすと自室へと向かう。
着替えながらPCのメッセンジャーを立ち上げると、それを待っていたかのようにチャットルームへ招待された。
『やぁ、クロウ。元気でやってるかい?』
『元気だよ、アラン。』
久しぶりの仲間の声が懐かしい。
『あの案件が気になってるかと思ってね…』
あの案件と言われてすぐに“死海文書”の事だと解った。