とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
一昨日の夜、彼が最期の入庫を終えフォークリフトを所定の位置に戻そうとした時だった。
彼の耳元を何かが掠めた。
薄暗い倉庫内を見渡すが何も見えない。
でも確かに空を切る音が無数に聞こえる。
それが自分に向ってくる気配に、彼はとっさに手元のハンドルを切った。
そして、この惨事を引き起こしたというわけだ。
「そんなの出任せだ!何かが飛んできたって!?夜中なんだから鳥な訳もねぇんだし、んなもん居なかったんだよ!」
右京たちの近くを横切った従業員にそう言われ、彼は「嘘じゃない!」と反論していた。
もしかしたら、ニックの話していたロッズは本当に居るのかも…
作業を手伝いながら右京はそう思った。
多少再びロッズが現れてくれたらと期待したが、そんな様子もなく…
何とか作業の目処が立つと右京も皆と帰宅したのだった。