とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
隣に座った虎太郎はそんなニックに『…あのさ…』と小さな声で話し掛けた。
『さっきの話なんだけど、ちょっと聞いていいか?』
『…なんだ?』
『ニックならさ、好きな彼女を怒らせた時…どうする?』
『…謝るんじゃないか?』
『…それでも許してもらえなかったら?』
そう聞く虎太郎に、ニックは目を閉じながらフッと笑う。
『なるほど…歌姫が怒ってる理由が判らないのか…』
『…彼女が言うには、俺は何も判ってないらしい。』
『ほっとけ…って言いたいとこだけど、お前の様子じゃそうもいかなそうだな?』
ニックはちょっと唸りながら、『ヒューガはさ…』と片目を開けてこちらをチラッと見た。
『歌姫と会話するだろ?彼女が言ってた事とか、覚えてるか?』
『もちろん。…最近は愚痴ばっかだけど。』
そう言って虎太郎は溜め息を着いた。