とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




カリフォルニアの天候は先ほどの暴風が嘘のように穏やかだった。



『まずは何処から?』



『…考古学者の息子の自宅を訪ねる。』



そう言ってニックは携帯端末を取り出すと資料を確認した。



空港からタクシーに乗り込み、到着した考古学者の自宅は空き家だった。



『…早速行き詰まりか?』



『まぁ想定内だよ。…とりあえず、近所に聞き込みだ。』



さすがジャーナリストと言うべきか、ニックは全く動じた様子もない。



スタスタと隣の家のチャイムを押す彼に虎太郎はちょっと感心した。



『すみませ~ん!ちょっとお訊きしたいんですが~』



玄関口で声を張り上げたニックを、家の中から顔を出した住人が怪訝そうに睨んだ。



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