とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



『あの、お隣の事でお訊きしたい事がありまして…』



そう話を切り出したニックに家主である老婦人は『あんた、警察かい?』と鋭い視線を向けた。



『いえいえ…警察じゃなくて雑誌記者です。』



『記者…?そうかい、てっきりあの日の事を再捜査でもしに来たのかと思ったよ。』



老婦人の言葉に二人は顔を見合わせた。



『…すみません、“あの日”って?』



『なんだい、知らないのかい?隣のじいさんは殺されたんだよ!』



『こ、殺された!?』



思わず声がでかくなり、ニックは慌てて回りを見渡す。



人影がない事に胸を撫で下ろし、再び老婦人に目を向けた。



『その話…詳しく聞かせてもらえますか?』



老婦人は少し声を潜めながら得意気に“あの日”の事を話し始めた。




< 197 / 476 >

この作品をシェア

pagetop