とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



住宅街の外れにある小さなレストランでランチを取る。



食後のコーヒーを飲みながら虎太郎はさっき感じた視線についてニックに話し出した。



『それが本当なら、確かにあの婆さん臭うな…』



『だろ?俺、あの婦人のところにもう一度行ってみるよ。』



『…行ってどうするんだ?』



首を傾げるニックに虎太郎は口角を上げた。



『喋って貰うのさ。』



『なるほど…“暗示”か…。』



暗示は虎太郎の得意とするもので、以前P2のミッションでもその力を使っていたのをニックは思い出した。



『オーケー!じゃあ、俺はノーマンの家を調べてみる。…と、その前に…』



ニックは携帯を取り出すと手早く番号を打ち込む。



『…連絡入れないとボスがうるさいからな…』



虎太郎はニックに肩をすくめると、少し温くなったコーヒーを喉に流し込んだ。



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