とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
先ほどまで座っていた一人掛けソファに再び腰を下ろし、老婦人は虎太郎に『適当に座りな』とぶっきらぼうに言い放った。
『…で?何を聞きたいんだい?』
『お隣のノーマンの事です。彼は貴方と親しかったんですよね?彼から何か聞いたんじゃないですか?』
青年のブラウンの瞳をジッと睨み、婦人はフンッと鼻を鳴らす。
『何かって何をだい?』
『些細な事でもいいんですよ…』
そう言って自分を見つめて来る青年の瞳が微かに揺らいだような気がした。
『…あんたの目…』
…あれ?…ブルーだったかねぇ…
その瞳に釘付けになり、視線を逸らせなくなる。
『さぁ…話して。』
彼のしなやかな腕が伸び、彼女の額をその人差し指がトン…と突いた。