とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
◇
不動産屋は30分遅れでやって来た。
小太りの頭が薄い男性で、急いで来たのか額から汗が噴き出している。
『いや~申し訳ない!前のお客さんの話が長くて、遅刻してしまいましたよ!』
ニックは『大丈夫ですよ』と微笑んだ。
『今ご案内します!』
そう言って忙しない動きで入口の扉に手を掛け、施錠を外した。
『建物は年数経ってますけど、意外と造りはしっかりしてますし、部屋数も結構ありますからこの価格は買いですよ、買い!』
室内は親族によって片付けられたみたいだが、家具はほぼそのままだった。
『前の住人は?』
『えっ…?ま、前の住人…ですか?』
『うん。なんでこんないい家を売りに?』
『…年老いた老人が独りで暮らしてましてね…実は数ヶ月前に亡くなられたんですよ…』
言いづらそうにそう話す不動産屋にニックは『ふーん…』とわざと気のなさそうな返事を返した。
不動産屋は30分遅れでやって来た。
小太りの頭が薄い男性で、急いで来たのか額から汗が噴き出している。
『いや~申し訳ない!前のお客さんの話が長くて、遅刻してしまいましたよ!』
ニックは『大丈夫ですよ』と微笑んだ。
『今ご案内します!』
そう言って忙しない動きで入口の扉に手を掛け、施錠を外した。
『建物は年数経ってますけど、意外と造りはしっかりしてますし、部屋数も結構ありますからこの価格は買いですよ、買い!』
室内は親族によって片付けられたみたいだが、家具はほぼそのままだった。
『前の住人は?』
『えっ…?ま、前の住人…ですか?』
『うん。なんでこんないい家を売りに?』
『…年老いた老人が独りで暮らしてましてね…実は数ヶ月前に亡くなられたんですよ…』
言いづらそうにそう話す不動産屋にニックは『ふーん…』とわざと気のなさそうな返事を返した。