とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



不動産屋の男は痛いところを突かれてバツが悪そうだ。



どうにか顧客の気を引こうと何かをベラベラとニックに話している。



もちろん、買うつもりのないニックは全く聞いていなかったのだが…。



ふと、ポケットの中で携帯が鳴っているのに気付いて一言『失礼』と断ってから通話ボタンを押した。



『…終わったか?…ああ、こっちは今からだ。…わかった。』



そう言って短い会話を終わらせると、隣の部屋へと移動する。



『その亡くなった方はどこで?』



『…丁度貴方が居る辺りです。』



『えっ!?』



思わず後退りして足元に目を向けた。



…なんか臭うな…漂白剤か?



『いたいた!』



用事を済ませた虎太郎に目を向けるとニックは彼に顔を近付けた。




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