とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ポートマンは少し周囲を気にしながら声を潜めた。
『明日、私の職場に来ないか?』
『君の職場って…確か検死局だろ?』
彼はカリフォルニア州の検死局で検死官として勤務している。
ちょっと興味はあるが、部外者である自分が行ってもいいものか…。
ポートマンはベッカーの心の内を見透かしたように笑った。
『別に一緒に解剖しようと言っているわけじゃないさ!ちょっと力を貸して欲しいだけだ。』
『それを聞いて安心したよ。』
…まぁ、公務じゃないしな…
旧友の誘いを断りきれず、ベッカーは観念したように『わかった』と頷いた。
…結局バカンスってなんだろう?
なんて考えたりして、自分には仕事しかないのかと気付くと独り嘲笑するのだった。