とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~




翌日、ポートマンの職場を訪ねると彼はオフィスで書類と格闘していた。



『すまない…少し待っていてくれ。』



そう言って慌ただしく業務をこなす。



『そんなに急がなくてもいいぞ?私に気にせず仕事をしてくれ。』



『私が早く仕事を片付けたいだけだ。』



彼は笑ってそう返すと手早く書類に目を通しサインをした。



コーヒーを持って来てくれた女性職員は『いつもあんな感じなんです』と苦笑していた。



暫くして仕事が一段落したらしいポートマンは、ベッカーの正面の椅子に座ると、一冊のカルテを手渡す。



『3ヶ月ほど前に私が司法解剖した男性のカルテなんだ。』



ベッカーはそのカルテを開き、“頭部に鈍器損傷”の文字を見てすぐに他殺体だと解った。




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