とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
『…これが何か?』
『上からの指示で“心臓発作”として処理した。』
ベッカーはポートマンの言葉に眉を寄せる。
『何故…!?どうみても他殺じゃないか!』
『ああ、そうなんだ。私も抗議したんだが聞き入れてもらえなくてね…。』
書類の捏造を強要され、やむを得ず了承してしまったポートマンは良心の呵責に苛まれていた。
『君の助けを借りたかったのはそれじゃなくてこれなんだ。』
ポートマンがテーブルに置いたビニールの袋に視線を落とす。
一見、何かのレシートに見えたが、良く見ると小さな文字で何かが書いてある。
『…“善と悪の…神に…”…よく読めないな…』
『“善と悪の選択。禁断の書物の謎を私は解いた。…そして神に使えし悪魔に私は目を付けられたのだ”』
ポートマンの暗唱にベッカーはゴクリと唾を飲んだ。