とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
ベッカーはポートマンが何かを言うより先に『…やめろ』と頭を振った。
『…私はあの男性の無念を晴らしたいんだよ、Dr.ベッカー。』
『そんな事をしたらどうなるか…!私は絶対に反対だ、Dr.ポートマン!』
必死に説得してみたが彼の意志は固く、全く揺るがなかった。
『…君に協力して欲しいんじゃないだ。ただ、私にもしもの事があったら…別れた妻にこれを渡して欲しい。』
ポートマンはそう言ってベッカーに白い封筒を手渡した。
ベッカーはそれをジッと見つめ、唇を噛み締めた。
『…わかった。だけど一つ条件がある。君が知り得た事を私にも報告する事!いいね?』
ポートマンは穏やかな笑みを浮かべ、ゆっくりと頷いた。
その後、彼とは何度か連絡を取り合っていたが、ある日を境に突然音信不通になった…。