とある堕天使のモノガタリⅣ ~TORAH~



休日の朝、ダンは決まってミサへと出掛ける。



忙しくて行けない事もあるが、それ以外は欠かさず参加するようにしている。



礼拝を済ませ教会を出た時、外のベンチに知った顔を見付けて彼は『おはようございます』と声を掛けた。



だが彼はダンの声が聞こえていないのか、ただぼーっと教会を眺めていた。



『…Dr.ベッカー?』



『えっ?…ああ、刑事さん。すみません、ぼーっとしてました…』



弱々しい微笑みを返すベッカーの隣に座るとダン彼の顔を覗き込んだ。



『…元気ないですね…どうかしましたか?』



『ええ…最近アメリカに住んでいた友人が失踪しましてね…』



『失踪!?…それは心配ですね…』



『はい…』



ベッカーは小さく息を吐いて手元に視線を落とした。



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