とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
酷く落ち込んだ彼を見ていてダンは気の毒になる。
『良かったらお力になりますよ?…話、聞かせて下さい。』
ベッカーはその言葉に一瞬驚いたような表情をしたが、すぐにまた視線を落とした。
『…ご迷惑をお掛けする訳には…』
『何言ってるんですか!私はこう見えても一応刑事ですよ?』
『ハハハ…そうでしたね。…じゃあ話だけ…』
そう言ってベッカーは小さな声でポツリポツリと話し始めた。
『…失踪した友人はカリフォルニア州で検死官をしてました…』
『…カリフォルニア州…』
『ええ…私とは専門分野が違うので、良くはわかりませんが、上からの指示でとある遺体の調書を捏造したんです。』
ダンはその時点で何の事件かピンと来た。