とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「もしもし…?」
「忍、まだ仕事~?」
携帯から聞こえて来た右京の声に何故かホッとする。
「今帰るよ。…右京はもう帰ってるの?」
「当たり前!今何時だと思ってんの!?」
「何時って…7時過ぎでしょ?」
「はぁ!?もう9時半だよ!」
…えっ!?…さっき確か7時過ぎだった…あれ…?
再び視線を時計に向けると、右京が言うように9時半だった。
「おかしいなぁ…見間違えたのかな…」
「とりあえず、早く出てこいよ。下で待ってるから。」
「えっ!?いつから!?ま、待って、すぐ行く!」
慌てて鞄を掴むと、部屋の灯りを消してパタパタと廊下を走った。
急いでる時に限ってエレベーターはなかなか来ない。
忍はちょっと考えて非常階段から下に降りる事にした。