とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
朝稽古に忍も誘おうかと思ったが、きっと彼女も身体が怠いだろうと考え独りで道場に向かった。
軽くストレッチをしてから形を確認していると、師範が遅れてやって来た。
「…右京…」
「ああ?」
「腰…どうした?」
「ど、どうしたって…何が?」
師範は無言のまま木刀の先で右京の腰を軽く突いた。
「いっ…てぇ…!!」
「…やはり痛めとるな…」
「べ、別に平気だって…!」
あまり喋るとボロが出る可能性があるため、右京としてはあまり突っ込まれたくない。
「それより、今日の午前中の稽古は子供達だろ?…俺見るよ。」
だが師範はジッと右京を見据え、眉をピクリと動かした。
「…右京…お前昨日…何処で何をしてたんじゃ?」
「…バイク走らせに行っただけだよ…」
が、師範は右京の喉に木刀を突き付けた。