とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
忍は出版社を出て駅までトボトボと歩いていた。
横断歩道の信号が赤から青に変わり、彼女は一歩踏み出した。
「危ない…っ!!」
「…っ!?…」
誰かの叫び声が聞こえ、ハッとした忍の目の前をトラックが掠めた。
唖然と立ち尽くす彼女に周囲の人達は「大丈夫!?」と駆け寄って来る。
「だ…大丈夫です…」
「…気を付けないと…赤信号だよ!?」
「…えっ…?」
確かに歩行者用の信号は赤だった。
「…うそ…」
…だって今、青に…
見間違えだろうか…?
「…忍さま…」
ふと顔を上げるとそこには潤がいた。
「…今…赤だった?」
「ええ…とりあえず帰りましょう。」
忍は納得のいかないまま潤に手を引かれて歩く。