とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「私…なんか変なの…!」
「変って…?」
「時間を見間違えたり、信号を見間違えたり…ううん、そうじゃなくて何をやっても上手くいかなくて…!」
何を言ってるのか忍自身よく判らないが、思い付くまま右京に話す。
そんな支離滅裂の話を右京は「うんうん」とちゃんと聞いてくれた事に安心した彼女は、やっと落ち着きを取り戻した。
「…とりあえず着替えよ?…風邪ひいたら困る。」
「…右京もスーツが…ごめん…」
「気にすんな」と笑う彼の優しさに思わず涙が出る。
「泣く事ねぇだろ?別に怒ってないし、変だとも思ってない。」
「ん…ありがと…」
「皆心配してるから先に戻れよ?…俺、このまま風呂入っちゃうから。」
忍はコクリと頷くと静かに出て行った。
「…“変”…か…」
彼女が居なくなると右京はポツリと独り言を呟いた。