とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
その邪気が全く感じられないとなると…。
「…なるほど。」
「ワタクシに出来る事は限られてます。…後はお任せしますね。」
そう言い残して彼は姿を消した。
右京が忍の部屋に入ると、ベットで寝ていたらしい彼女が目を開けた。
「…いいよ、寝てて。」
「ん…なんか怠いの。ねぇ、右京。ここに居て?」
「ハハ…今日の姫はヤケに素直だな…」
「なんか怖いの…」
右京に腕を伸ばす忍に微笑むと、彼女のベットに潜り込んだ。
「…私…変じゃない?」
「変じゃないよ。…俺のそばに居れば何ともないだろ?」
「…そういえば…」
「おそらく“暗示”だよ。」
「…“暗示”…?」
邪気を感じないなら、それは悪魔に掛けられたものではない。
かと言って人間の掛けた呪いでもない。
…多分、俺への“警告”だ。