とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
正直にそう言えばきっと忍は無理をするだろう。
“私なら大丈夫”…そう言うのが判ってるから言わない。
「忍は大丈夫…俺が守るから…」
…それが“神に仕えるヤツ”だとしても…
忍は右京の言葉に応えるように彼の胸に顔を埋めた。
「…ごめんな…怖い思いさせて…」
安心して寝息を立て始めた小さな彼女を抱き締め、右京はそう囁いた。
…それでも傍に居て欲しい…
そう思うのはただのワガママなのだろう。
いつの間にか欲深くなっていく自分に気付く。
自己嫌悪をしながらも貪欲に…それはまるで“人間”に似ていた。
…“人間”ならもっと平穏に暮らせるんだろうな…。
もし自分が“人間”だったら…
そんな事を考えながら右京も浅い眠りに着いた。