とある堕天使のモノガタリⅣ
~TORAH~
「ん~…忍は大丈夫だと思う…」
その言葉通り自分より遥かに身体の大きな相手を背負い投げた忍に歓声が上がった。
「…そうっすね…むしろ相手が心配っすよ…」
相川は「…信じられない…」と思わず呟いた。
「あはは!ホント、信じらんねぇな!」
そして、相川に「俺の彼女、最高だろ?」と笑う。
掻き上げた黒髪を靡かせ、こっちに歩いて戻って来る彼女を不覚にも“かっこいい”と思ってしまった。
強く…それでいて女の色気がある。
忍は右京を見てフンッと鼻を鳴らすと彼を睨んだ。
「…何よ…」
「…ヤバい…ゾクゾクする。」
「…変態…」
相川の目の前で、ごく自然な動作で忍を引き寄せ彼女の耳にキスをする右京。
まるで自分の入る余地がない気がした。